AI検索需要を調べる方法はある?『検索ボリューム』では測れないLLMO時代の質問需要
AI検索の質問ボリュームは調べられる?ChatGPTの検索クエリ、Bing Grounding Queries、Search Consoleなど現在利用できるデータを整理。LLMOinsightの6,211件の施策データをもとに、SEOの検索需要とは異なるLLMO時代の考え方を解説します。

この記事の結論
現時点では、ChatGPTなどの「質問ボリューム」をSEOの検索ボリュームのように正確に取得することはできません。しかし、LLMOで重要なのは質問回数の多さではなく、自社が選択肢となる重要な質問でAIから正しく理解・推薦されることです。検索需要から逆算するSEO的な発想ではなく、意思決定場面からベンチマーク質問を設計し、AI回答・引用・AI流入・指名検索・CVを複合的に計測することが重要です。
概要
「ChatGPTで、この質問は月に何回されているのか?」
AI検索対策(以下、LLMO対策)を進める中で、このような質問をいただくことが増えてきました。
SEOであれば、Google Keyword Plannerなどを利用して検索キーワードごとの検索ボリュームを調べ、需要の大きいキーワードから優先順位を決めることができます。
では、ChatGPTやGeminiなどの生成AIでも、
「新宿でおすすめのホテルは?」 「30代の転職におすすめのサービスは?」 「東京都内で子育てしやすい街は?」
といった質問が月に何回行われているのかを調べることはできるのでしょうか。
結論から言えば、2026年9月現在、SEOにおける検索ボリュームのように、特定のプロンプトが何回質問されたのかを正確に取得する方法はありません。
しかし、より重要なのはここからです。
LLMOinsightでは、そもそも「検索ボリュームの大きい質問を探して対策する」というSEO的な発想を、そのままLLMOに持ち込むべきではないと考えています。
AI検索では、「何回質問されたか」以上に、
自社の商品やサービスが候補になる質問をされたとき、AIが自社を正しく理解し、比較・推薦できる状態になっているか。
これを確認し、改善することが重要だからです。
AI検索に「検索ボリューム」は存在するのか
現在、ChatGPT、Geminiなどの主要な生成AIは、個々のプロンプトについて「月間○回質問されています」というデータをサイト運営者に提供していません。
たとえば、
「東京駅周辺で出張におすすめのホテルは?」
という質問が月間1,000回なのか、1万回なのかを外部から正確に知ることはできません。
これは従来の検索エンジンとの大きな違いです。
Google検索では、
「東京駅 ホテル」 「東京駅 ホテル おすすめ」 「東京駅 出張 ホテル」
といった検索キーワードをある程度独立した需要として捉えられました。
一方、生成AIでは、
「来週東京に出張します。東京駅から近くて、朝食が美味しく、1泊2万円くらいで泊まれるホテルを教えて」
のように、条件や目的、予算、好みなどを一つの質問に含めることができます。
さらに、その回答に対して、
「その中で大浴場があるところは?」 「もう少し安いところは?」 「駅から一番近いのは?」
と会話を続けることもできます。
つまり、AIでは質問の組み合わせが非常に多く、SEOの「キーワード」のように一つひとつを独立した需要として捉えること自体が難しくなっています。
検索ボリュームからAI質問需要を推測する方法は?
Google Keyword PlannerやGoogle Trendsなどを利用すれば、AIへの質問に含まれる単語やテーマについて、Google検索上の需要を調べることはできます。
たとえば、
「子育てしやすく、都心にも通勤しやすい街を教えて」
というAI質問に対して、
「子育て 住みやすい街」 「東京 子育て おすすめ」 「通勤 住みやすい街」
などの検索ボリュームを調べることは可能です。
そのため、検索データを「そのテーマに世の中の関心があるか」を確認する補助情報として利用すること自体には意味があります。
しかし、
検索需要=AIへの質問需要
ではありません。
ユーザーがGoogleに入力するキーワードと、AIに相談するときの質問では、情報量も利用目的も異なります。
検索ボリュームを足し合わせて「このAI質問には月間○件の需要がある」と推定してしまうと、実態とは大きく異なる可能性があります。
LLMO対策の優先順位までSEOの検索ボリュームに依存してしまえば、結局「検索ボリュームの大きいキーワードを含むページを作る」という従来のSEOへ戻ってしまいます。
検索とAI質問の違い
AIが内部で使用する「検索クエリ」なら分かるのか
ここでもう一つ考えられるのが、AIがWeb検索を行う際に使用するクエリです。
生成AIは、ユーザーから受け取った質問をそのまま検索エンジンへ入力するとは限りません。
質問を理解したうえで、必要な情報を取得するための検索クエリへ分解・変換し、複数の情報源を探索することがあります。
この検索クエリを大量に取得できれば、Googleの検索ボリュームよりも「AIがどのような情報を必要としているか」に近いデータになる可能性があります。
しかし現状、ChatGPTなどが内部で使用した検索クエリとその利用回数を、Webサイト運営者が網羅的に取得することはできません。
一方で、2026年に入って、この領域にも変化が起きています。
MicrosoftはBing Webmaster Toolsに「AI Performance」を導入し、Microsoft CopilotやBingのAI生成回答などで、自社コンテンツがどの程度引用されたかを確認できるようにしました。
さらに「Grounding queries」として、AIが引用コンテンツを取得する際に使用した主要なフレーズの一部も確認できます。
ただし、これはユーザーが入力した元のプロンプトそのものではなく、AIによる引用活動のサンプルです。
それでも、従来の検索キーワードとは異なる「AIが情報を探す際の需要」を観測する重要なデータになり始めています。
AI Botの巡回数から質問需要を推測できるのか
もう一つ考えられる方法が、AI Botのクロール状況です。
ChatGPTなどのAIサービスは、Web上の情報を取得するためにBotを利用します。
サーバーログ等を解析すれば、
「どのAI Botが」 「いつ」 「どのURLを」
クロールしたのかを確認できます。
しかし、ここでも注意が必要です。
AI Botの巡回数=ユーザーからの質問数ではありません。
AI Botにはインデックスや情報更新を目的として巡回するものもあり、必ずしも一回のクロールの裏側に一回のユーザー質問が存在するわけではないからです。
そのためBot巡回数は「AIからどの程度情報を取得されているか」を確認するシグナルにはなりますが、「月間質問数」として扱うべきではありません。
SEO施策をすればAI Botの巡回は増えるのか
ここでLLMOinsightが保有するデータを見てみます。
2026年6月1日〜9月1日の3か月間にLLMOinsightへ登録された「自社コンテンツ > SEO施策」は、6,211件ありました。
これらの施策で改善対象となったURLについて、6月1日と9月1日のAI Bot巡回状況を比較したところ、
AI Bot巡回は7.2%減少していました。
つまり、SEO施策を実施したからといって、AI Botからのクロールが増加するとは限りません。
さらに、AI回答における露出改善への寄与を見ると、SEO施策による改善は4.3%にとどまりました。
一方で、
- プレスリリース:16.4%
- YouTube投稿:16.1%
- 独自調査・検証:6.2%
- SEO施策:4.3%
という結果でした。
※LLMOinsight登録施策・AI回答データをもとに集計(2026年6月1日〜9月1日)。
これは「SEOは必要ない」という意味ではありません。
検索エンジンからサイトを正しく認識してもらうための技術的な整備や、ユーザーにとって分かりやすいページ構造は、現在もWebサイトの基盤として重要です。
しかし、
SEOで成果が出る施策と、AIの回答を変える施策は必ずしも同じではない。
ということは、意識する必要があります。
ページタイトルを調整する、特定キーワードを追加する、構造化データを実装する。
こうしたページ単体の改善だけでAIの回答が大きく変わるケースは、LLMOinsightの観測でも限定的です。
AIは一つのページだけを見て企業や商品を評価しているわけではありません。
公式サイト、第三者メディア、ニュース、動画、調査データなど複数の情報源を参照しながら、ユーザーの質問に対する回答を組み立てています。
LLMOinsight登録施策・AI回答データの一部/2026年6月1日〜9月1日
では、LLMOでは何を基準に対策するべきなのか
LLMOinsightでは、
「需要の大きなキーワードを探す」のではなく、「自社が選択肢になる意思決定の場面を定義する」
ことが重要だと考えています。
たとえばホテルであれば、
「○○ホテルについて教えて」
という指名質問だけを計測しても十分ではありません。
「東京駅周辺で出張におすすめのホテルは?」 「子連れで泊まりやすいホテルは?」 「AホテルとBホテルならどちらがおすすめ?」 「大浴場があって駅から近いホテルを教えて」
など、ユーザーがホテルを「知る・比較する・選ぶ」場面を想定します。
そのうえで、大きく以下のようなベンチマーク質問を設計します。
指名質問 自社がAIから正しく理解されているか。
比較質問 競合と比較された際に、違いや特徴が正しく説明されるか。
推薦質問 自社が選択肢となる条件で質問された際に、候補として推薦されるか。
重要なのは、一つの質問文の月間ボリュームではありません。
その質問が、「自社の商品・サービスが選ばれる意思決定にどれだけ関係しているか」です。
意思決定を中心とした質問設計が重要
実際にLLMO施策でAI露出は改善しているのか
では、質問ボリュームではなくAI回答そのものを基準に改善すると、結果は変わるのでしょうか。
同じ2026年6月1日〜9月1日のLLMOinsightデータでは、改善施策が登録されたブランドのうち、
63.9%でAI上の露出改善が確認されました。
一方、
露出改善なし:26.9% 露出悪化:9.2%
という結果でした。
すべての施策を行えばAI露出が改善するわけではありません。
しかし、重要なのは「検索ボリュームのあるキーワードに対策したか」ではなく、
AI回答を計測し、何が不足しているのかを分析し、その原因に合わせて施策を選択すること
です。
実際に、前述した通り施策によってAI回答への寄与には大きな差が確認されています。
施策実施ブランドのAI露出変化
「AIから何人来たか」だけでも成果は測れない
AI検索の効果測定でも、SEOと異なる問題があります。
ChatGPTなどのAI回答内に自社サイトへのリンクが表示され、ユーザーがそのリンクをクリックすれば、AI経由流入として計測できます。
しかし、
AIで商品を知る ↓ その場ではサイトへ移動しない ↓ 後日Googleで企業名を検索する ↓ 公式サイトへアクセスする
という行動では、アクセス解析上はOrganic Searchなどとして計測される可能性があります。
AIが認知や比較に貢献していたとしても、「AI Referral」だけを見ていると、その効果を捉えられません。
さらに、AI上で疑問が解決すれば、そもそもWebサイトを訪問しない「ゼロクリック」も発生します。
したがって、
AI流入数だけでLLMO対策の成果を判断するのも不十分です。
AI露出とAI流入には関係がある
一方、AI上での露出を増やすこととサイト流入が無関係というわけでもありません。
LLMOinsightの同期間のデータでは、
「自社サイト引用率」と「AI流入数」の相関係数は +0.515
となりました。
これは中程度の正の相関を示しており、自社サイトがAI回答の引用元として利用される割合が高いブランドほど、AI経由流入も多くなる傾向が確認されています。
ただし、相関関係は因果関係を意味するものではありません。
また、AIから直接サイトへ遷移しないユーザーも存在するため、AI流入だけでAI露出の価値すべてを説明できるわけでもありません。
だからこそ、LLMOでは複数の指標を組み合わせて評価する必要があります。
自社サイト引用率とAI流入数の相関
2026年、AI検索の効果測定は少しずつ進化している
質問ボリュームそのものは取得できませんが、AI検索におけるWebサイトの露出を確認できる環境は急速に整い始めています。
1. AI回答上の露出
ベンチマーク質問に対して、
自社が言及されたか 推薦されたか 何番目に紹介されたか 競合と比較してどう評価されたか
を継続的に計測します。
2. AI回答の引用元
自社サイトがAI回答の根拠として引用されているかを確認します。
Bing Webmaster ToolsのAI Performanceなども利用できます。
3. AI Botの巡回
AI Botがどのページを参照しているか、その増減を確認します。
ただし、前述した通り、Bot巡回数そのものを質問数や成果として扱わないことが重要です。
4. AI経由流入
ChatGPT、Perplexity、Geminiなどから実際に発生したサイト流入を確認します。
5. 指名検索
Google Search Consoleなどを使い、ブランド名やサービス名の検索が増えているかを確認します。
Search Consoleではブランドクエリと非ブランドクエリの分類も可能になっています。
6. Googleの生成AI上での露出
Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートを利用し、AI OverviewsやAI Modeなどで自社URLが表示された回数を確認します。
7. CV・売上
最終的には、問い合わせ、資料請求、購入などのビジネス成果がどのように変化したかを確認します。
LLMOは「検索需要を取りにいく施策」から「AIの意思決定に入る施策」へ
SEOでは、「どんなキーワードが検索されているか」 を調べ、その検索結果で上位を獲得することが重要でした。
しかしLLMOでは、「ユーザーがAIに相談したとき、AIがどの企業・商品を選択肢として提示するのか」という、新しい競争が始まっています。
そのため、検索ボリュームの大きなキーワードを探してページを最適化するというSEOの延長だけでLLMOを考えるべきではありません。
まず、「自社はどのようなユーザーの、どのような意思決定場面で選ばれるべきなのか」を整理します。
そのうえで指名・比較・推薦・課題解決などのベンチマーク質問を設計し、実際のAI回答を計測します。
AIが自社について誤解していれば、正しい情報を増やす。
競合しか推薦されていなければ、その理由を分析する。
自社の強みが認識されていなければ、一次情報、第三者情報、動画、プレスリリースなども含め、AIが参照できる情報環境を整える。
そして改善後のAI回答、引用、AI流入、指名検索、CVなどを継続的に計測する。
これがLLMOinsightが考えるLLMO対策です。
「月間何回質問されているか」を探すこと以上に、「自社に関連する重要な質問がされたとき、AIが正しく自社を理解し、選択肢として推薦しているか」を見ること。
AI検索時代には、この考え方がより重要になっていくと考えています。
よくある質問
Q. ChatGPTの質問ボリュームを調べることはできますか?+
A. 現時点では、特定のプロンプトがChatGPTで月に何回質問されたかを外部から正確に取得することはできません。ChatGPT側からプロンプト単位の利用回数が公開されていないためです。
Q. Googleの検索ボリュームをAIの質問需要として利用できますか?+
A. 参考情報として利用することはできますが、検索需要とAIへの質問需要は異なります。AIでは自然言語で条件や背景まで含めて質問できるため、Googleの検索ボリュームをそのままAI質問需要として扱うことは推奨していません。
Q. ChatGPTが検索に使ったクエリを確認できますか?+
A. ChatGPT Searchはユーザーの質問を検索用クエリに書き換える場合がありますが、そのクエリや利用回数をサイト運営者が確認することはできません。
Q. BingのGrounding Queriesとは何ですか?+
A. Bing Webmaster ToolsのAI Performanceで確認できる、AIが引用するコンテンツを取得する際に使用した主要なフレーズです。ユーザーが入力したプロンプトそのものではありませんが、AIがどのような情報を探しているかを理解する参考になります。
Q. AI Botの巡回数から質問数を推定できますか?+
A. 単純な換算はできません。AI Botはユーザーの質問への回答だけでなく、インデックス作成や情報更新などでもWebサイトを巡回するため、「1クロール=1質問」とは考えられません。
Q. LLMOではどの質問を対策すればよいですか?+
A. 検索ボリュームではなく、自社がユーザーの選択肢となる意思決定場面から考えることを推奨します。指名質問、競合との比較質問、商品・サービスの推薦質問、課題・条件付き質問などをベンチマークとして設定し、実際のAI回答を計測します。
Q. LLMOの成果は何を見ればよいですか?+
A. AI回答での言及・推薦・引用、AI Botの巡回、AI経由流入、Googleなどでの指名検索、生成AI上でのインプレッション、CV・売上などを組み合わせて評価します。AI Referralだけでは、AI接触後に指名検索したユーザーやゼロクリックの影響を把握できないためです。
著者 : LLMOinsight編集部
AI検索・LLMO・ブランド分析に関する調査データと実務知見をもとに、企業のAI露出や改善方法を分かりやすく解説します。LLMOinsightで蓄積した調査・分析データや検証結果も定期的に発信・更新しています。
*この投稿は、Letierの法的通知および免責事項に従います。
*本投稿は、 LLMOinsight(AI検索最適化プラットフォーム) で作成しています。一部AIの構成・編集が含まれることがあります。



